卵子凍結|北くまもと井上産婦人科医院 リプロダクション部門|熊本市北区にある不妊治療専門外来
卵子は年齢が高くなればなるほど質が低下するため妊娠し辛くなります。そのため現在の年齢の卵子を凍結保存することで将来の妊娠に備えることが出来ます。
下の図は横軸が年齢で縦軸が妊娠率になります。青が提供卵・橙が本人の卵由来の妊娠率ですが、本人卵では年齢が上昇すればするほど妊娠率は低下しますが、若い卵由来の提供卵であれば妊娠率が下がらないということがわかります。(引用元 2015 Centers for Disease Control and Prevention)
医学的卵子凍結と社会的卵子凍結があります。
医学的卵子凍結は、がんの治療前や化学療法や骨髄移植を必要とする自己免疫疾患や血液疾患の治療前に卵子を凍結します。また、両側性卵巣腫瘍の存在、重度または再発性卵巣子宮内膜症の方なども行うことがあります。
社会的卵子凍結は、キャリア上すぐに妊娠できない方や決まったパートナーがいない方など、さまざまな理由で出産を先延ばししたいと考える女性が対象となります。
技術の進歩により、現在卵子凍結は生殖補助医療における効果的な技術であることが証明されています。(Fertility and Sterility® Vol. 105, No. 3, March 2016 0015-0282)
上記はBaker TGらが作成した卵子数と年齢の変化を示した図です。この図によると、女性は生まれる前から卵子が卵巣に存在し、出生後に卵子は減少し続けます。さらに、出生時の卵子を使用するため30歳であれば30年前の卵子を使用することとなります。高齢になればなるほど、細胞分裂の異常が起こりやすくなり妊娠しにくく流産しやすくなります。そのため、そうなる前に将来の妊娠のために現在の卵子を凍結しておき、仕事が落ち着いた場合や決まったパートナーが出来た時に凍結しておいた卵子を使用することで、妊娠率をできるだけ確保することが出来ます。
自然の排卵では卵子が1個しか育ちませんので、卵子凍結するには飲み薬や注射で卵巣刺激を行い複数個の卵子を獲得する必要があります。さらに、凍結卵子を使用する際、卵子を融解し精子と受精させるには顕微授精が必要となります。
卵子を凍結・融解する際、卵子がストレスに耐えきれず壊れてしまうことがあります。技術が発展し卵子の生存率は上昇していますが、卵子が壊れてしまうことはある程度起こることが予想されます。
妊娠率は卵子を凍結した年齢により異なります。報告では35歳以下であれば卵子が10個あれば累積出産率は60.5%(15個あれば85.2%)、36歳以上で卵子が10個あれば累積出産率は29.7%と発表されています(Fertility and Sterility® Vol. 105, No. 3, 2016 0015-0282)。35歳以下で卵子が15個あれば85.2%も児を獲得できる可能性があり、若い年齢での卵子凍結はかなり効果的な治療法と考えられます。
赤ちゃんに関しても、一般的な体外受精新鮮胚移植で得られた胚と卵子凍結由来の胚を比較したところ、産科・新生児に関して合併症などの発生率に変わりはなかったと報告されています。
日本産婦人科学会より卵子凍結を考えている方への動画が公開されました。
ご参照ください。
項目 | 料金 |
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卵子10個凍結する場合 | 約40‐45万円かかります。 |
税抜き価格です。
卵子の獲得数、薬剤の量を調整するため抗ミュラー管ホルモン(AMH)を採血します。初診料と合わせ約10,000円かかります。
*卵巣刺激にペン型の注射を使用するか、アンプル型の注射を使用するかで値段が変わってきます。
凍結後1年毎に更新料がかかります。