不育症|北くまもと井上産婦人科医院 リプロダクション部門|熊本市北区にある不妊治療専門外来
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不育症

不育症|北くまもと井上産婦人科医院 リプロダクション部門|熊本市北区にある不妊治療専門外来

不育症とは

不育症とは、2021年の不育症管理に関する提言より、2回以上の流産歴がある場合を不育症とします。異所性妊娠や生化学妊娠については今のところ回数に数えません。ただ、10週以降の原因不明の流産に関しては不育症検査をお勧めすることがあります。流産の頻度は10-20%であり、2回以上流産歴のある方は欧米より高く4.2%、3回以上は0.88%と報告されています(Sugiura-Ogasawara,2013)。35歳以上からは流産率が上昇します。

不育症の原因

不育症の原因

  • 子宮形態異常
  • 内分泌異常
  • カップルの染色体構造異常
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 血栓性素因、 第ⅩⅡ因子欠乏症、プロテインS欠乏症
  • リスク因子不明

などがありますが、半数以上は原因不明であります。Moritaらの報告によると日本では図の頻度と報告されています。

不育症の検査

①子宮形態異常

子宮卵管造影検査・子宮鏡検査にて子宮の形態や子宮内膜の状態を確認します。
形態異常が見つかった場合はMRIで精密検査を行うことがあります。

②内分泌異常

採血で甲状腺機能や血糖値を測定します。

③カップルの染色体構造異常(必要時・平日のみ)

採血でカップルの染色体を調べます。カップルの検査行う検査になります。検査のメリット・デメリットをよく理解していただき検査します。

④抗リン脂質抗体症候群

採血にて抗体を測定します。

⑤血栓性素因

第ⅩⅡ因子欠乏症、プロテインS欠損症など判断するため採血を行います。

不育症の治療

まだまだ確立されていない分野ではありますが、新しい知見を取り入れ治療の提案できるようにいたします。

①子宮形態異常

中隔子宮など手術も選択肢の一つですが、メリット・デメリットがあり十分に相談いたします。

②内分泌異常

薬物療法が中心になり内科での精査加療が必要になることがあります。

③カップルの染色体構造異常

遺伝相談が必要となります。カップルの染色体構造異常が見つかった場合、着床前診断(PGTーSR)は選択肢の一つとなることがあります。

④抗リン脂質抗体症候群

診断基準を満たす場合、低用量アスピリン+ヘパリンカルシウム併用療法を提案いたします。診断基準を満たさない場合は、低用量アスピリン療法を提案することがあります。

⑤血栓性素因

低用量アスピリン療法を提案します。

他にもステロイド、ガンマグロブリン療法、TNF-aアンタゴニスト、イントラリピド、G-CSFなどの報告もありますが、エビデンスレベルは低いものとなります。
ただ、心理的サポート(テンダー・ラビング・ケア(TLC: Tender Loving Care)/支持的ケア(Supportive care))、不安やストレスの軽減を目的とした心理的サポートが妊娠継続に有効であるという報告があり、エビデンスは十分ではありませんが、当院では妊娠後心配事があればなるべく診察を行いたいと思います。
ご希望があれば1週間おきの超音波検査や流産率が落ち着く10週超えての診察、出血があった場合の診察など、できるだけ診察を行いたいと心がけていますのでご相談ください。

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