手術|北くまもと井上産婦人科医院 リプロダクション部門|熊本市北区にある不妊治療専門外来
子宮内膜ポリープによる症状はほとんどありませんが、不正性器出血・月経量、期間の異常をきたすこともあります。
ポリープはほとんどが良性腫瘍で経過観察可能ですが、放置することで大きくなり、不正出血や過多月経、また妊娠の妨げになる可能性があります。症状を認めたり、なかなか妊娠せず、妊娠を障害する可能性がある場合にポリープを切除することを提案いたします。切除したポリープが良性腫瘍であることを確認するため、病理検査に提出させていただきます。
子宮内膜の病変(内膜ポリープ、内膜増殖症、子宮粘膜下筋腫など)と子宮の形態異常など子宮内腔を子宮鏡で観察しながら、LINスネアという器具を使用してポリープを切除します。基本的には子宮鏡と同様に、点滴も麻酔も頸管拡張も不要な手術です。しかし、子宮口が狭い場合には、ラミセル(ゆっくり子宮口を広げる棒のようなもの)を挿入し広げることがあります(3~4時間)。検査の時期は月経終了直後から排卵前に行います。子宮内膜ポリープ切除は保険が適用されます。詳細費用については受付でお尋ねください。
(八光ホームページより)
十分に注意して行いますが子宮内に挿入した器具で子宮の壁に傷がつくことや穿孔が生じてしまう可能性があります。
保存的に治療できることが多いのですが、稀に高次医療機関に紹介して傷を修復する手術が必要になる場合があります。
手術時に子宮の壁が傷ついてしまった場合には出血が多くなることがあります。出血量によっては高次医療機関に搬送し、輸血が必要になることがあります。
手術前に消毒をし、術後予防的に抗生物質を内服していただくことにより感染を予防しますが、それでも子宮や骨盤内の炎症を起こすことがあります。この場合、抗生剤を追加で服用していただきます。
子宮鏡を行う際、生理食塩水を子宮内に注入しながら手術を行います。
子宮内に注入した生理食塩水の電解質が体内に吸収され、体内の電解質のバランスが崩れ、ひどくなると嘔吐・多飲・意識障害・痙攣など起こします。しかし、ポリープ切除のような短時間の手術では水中毒を起こすことは稀ですが十分な観察を行っていきます。
※ポリープの位置や子宮の傾きにより、ポリープに器具が届かずポリープ切除できない可能性があります。その場合は無理せず手術終了し、他院での麻酔下のポリープ切除を勧めることがあります。またポリープ切除しても再発してしまう可能性もあります。
数日出血があることがあります。出血時はナプキンをあてて清潔にしてください。
また当日もナプキンを2~3枚ご持参ください。出血が止まらない場合や量が多い場合など気になる点がある場合には、すぐに当院までご連絡ください。
※ご不明な点がありましたら医師までお尋ね下さい。
不妊症の原因のうち、卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)である「卵管性不妊症」の患者様が対象となり、カテーテルを膣から挿入し、詰まった卵管を拡げる日帰り手術のことを言います。メスなどによる切開をせず挿入するため、身体的負担が少なく、治療と同時に卵管内の状態を確認することもできます。
子宮卵管造影撮影などにより、卵管の狭窄など、卵管に異常がある場合は、その症状を除去しなければ、タイミング法や人工授精では妊娠できません。その改善を目的としたのが、卵管鏡下卵管形成術(以下FT)という治療法となります。
当院は、子宮鏡で卵管口(子宮から見た卵管の入り口)を確認し、FTを施行するようにしています。そのことでより確実に卵管内にFTカテーテルが挿入できるようにしています。
※子宮筋腫、子宮内膜症など他の因子がある場合、血液検査等で異常があった方には、FTは実施できない場合があります。
(TERUMOホームページより)
卵管は妊娠成立に対し、重要な役割があります。卵巣から排卵した卵子は卵管采から卵管へ入り、卵管の蠕動運動にて子宮側へ運搬されます。また、精子は卵管を逆行し、卵管膨大部で受精、そして約1週間にわたり胚成長しながら子宮底へ向かい、着床へと進みます。よって、卵管が閉鎖(卵管閉鎖)したり癒着(卵管癒着)を起こしたりすると、卵子や精子、受精卵が卵管を通過できない状態となるため、不妊の原因となります。検査方法として、子宮卵管造影検査で診断します。
この検査は、子宮の中に造影剤を入れながら、X線写真を撮影する方法です。卵管閉塞や狭窄、卵管水腫等の有無についてチェックします。
FTによる卵管開通率は90%以上で、妊娠率は約30%と報告されており、自然妊娠を希望される多くの患者様が適用となります。また、人工受精での妊娠率も上がると考えられております。
しかし、その効果は永続的ではなく、手術後6–8ヶ月を過ぎると、妊娠率が低下します。FTを施行後6ヶ月程度は、タイミング療法や人工授精を試みますが、それでも妊娠に至らない場合には、再度FTを行うか、体外受精へのstep upを考慮します。
疎通性が改善されない場合、もしくは疎通性が回復して6か月以上経過しても妊娠が成立しない場合は、体外受精をお勧めします。
卵管閉鎖、狭窄(間質部)の診断での実施は、保険適用があり費用の7割については公的な補助があり、高額療養費制度の対象となります。
※参考(3割負担・片側のみ)15万円程度