子宮卵管造影検査について|北くまもと井上産婦人科医院 リプロダクション部門|熊本市北区にある不妊治療専門外来
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医療コラム

子宮卵管造影検査について|北くまもと井上産婦人科医院 リプロダクション部門|熊本市北区にある不妊治療専門外来

子宮卵管造影検査について

こんにちは

今回は一般不妊検査のひとつである子宮卵管造影検査についてご紹介いたします。

子宮卵管造影検査は、子宮内に造影剤を入れ、子宮の形態と卵管のつまりや形状、骨盤内癒着を観察する重要な検査です。

 

この造影剤には、油性と水性の造影剤があり、それぞれメリット、デメリットがあります。

 

油性は粘性が高く、観察しやすいというメリットがありますが、卵管が腫大している方などは造影剤が水溶性より残存しやすいこと、まためったに起こることはありませんが油性の造影剤による塞栓症の可能性もあります。さらに翌日来院しレントゲン撮影の必要があります。

それに対し、水溶性造影剤は吸収されやすく、10-30分後に腹腔内の観察のためのレントゲン撮影ができ来院回数を減らすメリットがありますが、観察しにくいというデメリットもあります。

 

検査には予約が必要となります。

いきなり検査ができない理由としては、造影剤が使用できない可能性があるからです。

まずは、検査や問診をとり造影剤が使えるかどうか判断します。

造影剤の中にはヨウ素が入っています。油性造影剤は約480 mg iodine/ml に対して、水性造影剤では 240 ~ 300 mg iodine/mlほど入っています。このヨウ素はX線を通しにくくレントゲンに映りやすいという性質があります。このヨウ素は甲状腺ホルモンの原料となります。そのため、甲状腺に異常がある場合は造影剤使用後に甲状腺機能に変化が起こる可能性があります。甲状腺機能異常がある場合は、造影剤が使用しにくいことがあります。

次に造影剤によりアレルギーを起こす可能性があります。0.1~5%未満に発疹、そう痒感、発赤、嘔吐を伴うことがあると報告されています。ただ、アナフィラキシーを引き起こす可能性も稀にありますので、問診にてリスクがあるかを判断します。

気管支喘息をお持ちの患者さんは、造影剤による重篤な副作用の発現率が高く、造影剤を使用せずに、通水検査などで卵管の通りをみることがあります。

糖尿病のお薬(ビグアナイド系糖尿病薬)を服用されている方は、造影剤を使用することにより薬剤の腎排泄が減少し、血中濃度が上昇することで一時的に血糖コントロールが悪くなる可能性があります。内科の先生と相談していただき、一時的に服用を中止するか、減量していただくこともあります。

これらのため、子宮卵管造影検査を行う場合は予約が必要となります。

次回、子宮卵管造影検査後の妊娠に関しての報告や副作用についての報告をご紹介いたします。

 

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